中野区・保活の話(派遣社員)

昨日(2020年10月28日)付の読売新聞の投書欄に、保育士の方の投書が載っていた。

私がずっと気になっていたことをそのまま代弁して頂いている投書内容だったので、ここに記す。

 

「保育所の派遣社員活用について」の投書内容(要約)

・保育士不足を補うため、派遣社員を利用するのが常態化している保育所が多い。

・派遣会社を介して仕事をすることで、派遣社員にとっては派遣会社からアドバイスをもらったり等のメリットがある。

・けれども、保育所は派遣社員の賃金に何割かを上乗せした金額を派遣会社に支払う必要があるため、これが保育所の経営を圧迫している。

本来、保育士の賃金や子どもたちの教育に使うべきお金が派遣会社に回っている。このような状態をなんとかできないものか。

 

保育士の雇用形態

私たち保護者は、幼稚園や保育所の先生方がどのような雇用形態(常勤か非常勤か・正規雇用か非正規雇用か)で働いているのか知らない

しかし、今は公立保育園ですら、実際に働いている方の何割かは非正規雇用だったりする。

待機児童の増加で保育士不足に歯止めがかからず、保育士の直接の採用は難しく、保育士を確保するためには派遣会社に頼らざるを得ないのだ。

派遣会社に派遣を依頼すると、派遣社員の賃金に何割かを上乗せした金額を派遣会社に支払わなければならない

つまり、派遣会社に支払うお金の分をそのまま保育士の賃金に上乗せできれば、保育士の賃金はそれなりの額になるのに、派遣会社が間に入っているため、保育士の賃金が上がらないのだ。

 

中野区の一例

中野区立保育園についても派遣社員募集の広告を数年前からネット上でみかけるようになった。

確か以前は時給がもう少し安かったのだけれど、今は時給1,800円にアップしている。

保育士不足が続いていて、時給1,800円に設定しないと応募がないのかもしれない。

派遣社員の時給が1,800円であれば、
中野区はこの何割かを上乗せした金額(たとえば2割増しならば2,160円、3割増しならば2,340円)を
派遣会社に支払っているはずである。

 

二重価格

新聞の折り込み広告にも保育士募集のチラシがよく入ってくる。

チラシに記載されている賃金(保育所が直接雇用する場合の賃金)は、
今はおおよそ時給1,100~1,400円が相場だろう。

これに対して、派遣会社が募集している派遣社員の賃金は、
中野区周辺ではおおよそ時給1,600~1,800円といったところだろうか。

保育所が直接雇用する場合の保育士の賃金は時給1,100~1,400円なのに、
派遣会社が募集する派遣社員の賃金は時給1,600~1,800円というように二重価格になっている。

これでは保育所が直接募集しても応募は少ないだろう。

 

問題点

一番の問題は、上記の保育士の方の投書にあるように、本来、保育士の賃金に回るはずのお金が派遣会社に回ってしまい、保育士の待遇が改善されない点だ。

上記の中野区の派遣社員の場合、仮に中野区が派遣会社に支払う額をそのまま保育士に支払うのならば、保育士の賃金は時給2,000円以上になる。そうなれば、かなりきちんとした待遇になるから、子どもたちをきちんとみて頂ける良い人材を確保できる。

中野区が直接雇用する場合の賃金が安すぎるから人材が確保できず、結果、派遣会社に頼るハメになるのではなかろうか。

 

追記(2021.10.5)

別の記事で少し触れたが、中野区以外の幼稚園という選択肢もある。

たとえば、中野区内で園バスを走らせている他区の幼稚園である。

園バスを利用できるから、遠方までの送り迎えが不要、というメリットがある。

幼稚園の入園試験は11月1日である。

興味がある人は問い合わせてみることをおすすめする。

 

保活の話(まとめ)

中野区・保活の話(保活負け組)

中野区・保活の話(幼稚園にして良かったこと)

中野区・保活の話(保育所の数)

中野区・保活の話(わりと知られていないこと)

中野区・保活の話(2020年は3歳児以上に空きが出ている)

中野区・保活の話(転園)

中野区・保活の話(園庭)

中野区・保活の話(区外の園という選択肢)

中野区・保活の話(派遣社員)

中野区・保活の話(認可保育所の定員割れがもたらすもの)

中野区・保活の話(3歳児保活で幼稚園という選択肢)