【光村図書】振り返って楽しむ。小学国語教科書(小3・小4)
以前、光村図書の小学校低学年の国語教科書に載っているお話について取り上げたことがある。
昔教科書で読んだお話は案外覚えているものだ。
わたしの場合、子どもの頃に国語教科書に載っていたお話の中で一番鮮明に覚えているのが、小学校3年生・小学校4年生のときに国語の教科書で読んだお話である。
小学校3年生・小学校4年生になると、人間にはいろいろな感情があることがだんだんわかってくる。それに伴い、国語教科書に載る物語もハッピーエンドではないものや、正しいことをしたのに誤解されて悲しい結末を迎えるもの、不思議なお話になってくる。
その代表格が今回紹介する「ごんぎつね」であり、「一つの花」であり、「白いぼうし」である。
(小3下巻) ちいちゃんのかげおくり 作 あまんきみこ
あらすじ
戦争中の話。
ちいちゃんのお父さんは兵隊として戦地に行き、ちいちゃんのお母さんとお兄ちゃんは行方不明になり、ちいちゃんはひとり、焼け落ちた家で待っている。そして突然、眩しい光のせいでちいちゃんは空へ還っていく。
文章中には、原爆のことや、戦争に行ったお父さん・自宅が焼けたお母さんとお兄さんの行方については何も書かれていない。
だからこそ、居なくなったお母さんとお兄ちゃんを健気に待つちいちゃんの純粋な気持ちが浮き彫りになる。
(小4上巻) 白いぼうし 作 あまんきみこ
あらすじ
タクシー運転手の松井さんは田舎から送られてきた夏みかんを載せてタクシーを運転していると、道端に白い帽子が落ちていた。白い帽子を拾うと中から白い蝶が飛び出してきた。「こどもが蝶をみつけてかぶせたんだ」と分かった松井さんは、持ってきた夏みかんを代わりに白い帽子の中に入れておいた。
車に戻ると、客席にはおかっぱのかわいい女の子が座っていた。
この女の子はいったい誰?
今読むと「そういうことか」とわかるお話。
今ならばすぐ分かるけれど、子どもの頃読んだときは分からなかったと思う。
久し振りにこの話を読み、夏みかんのにおいを思い出して懐かしい気持ちになった。
(小4上巻) ひとつの花 作 今西祐行
あらすじ
「一つだけちょうだい。」これがゆみ子のはっきり覚えた最初の言葉だった。戦争が激しかったころのこと。食べ物がなくて、いつもおなかをすかせていたからだろうか。
ある日、お父さんが出征することになった。お別れの日、お父さんはプラットホームの端に咲いていたコスモスの花を見つけ、ゆみ子に「一つだけのお花、大事にするんだよう」と言って、汽車に乗って行ってしまった。
お父さんが行ってしまってから10年の月日が流れた。
お父さんからもらった花は本当に「お父さんからもらった一つだけの花」になってしまった。
何も覚えていないゆみ子はお母さんと暮らしている。
今のゆみ子は毎日明るく懸命に生きている。その姿が逆に悲しみをそそる。
(小4下巻) ごんぎつね 作 新美南吉
あらすじ
きつねのごんは、兵十がしかけたワナにいたうなぎを盗んだ。後日、兵十のおっかあが死んだことを葬列を見て知った。うなぎは兵十がおっかあに食べさせるつもりだったと気づいたごんは、お詫びとして、毎日、くりやまつたけを兵十の家へ持って行った。それを知らない兵十は、ごんが盗みに家に来たと思い、銃を撃った。
言うまでもない名作。
「モチモチの木」のように、物語と絵が一体となった絵本もあるけれども、『ごんぎつね』にはいろいろな挿絵の『ごんぎつね』の絵本が巷に存在する。
新美南吉は29歳という若さで結核により没している。
長い間、こんなに多くのこどもたちが自分の書いた物語を読んでくれていることを、新美南吉は天国でどう感じているのだろうか。
まとめ
光村図書の小3・小4の国語教科書に掲載された物語の中には、上の4つの物語のように、もう何十年も掲載され続けているものがある。
「教科書」という形で世代を超えて受け継がれている物語が存在するのだ。
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