認可保育所の空き状況:今後が怖い

先日「待機児童のカラクリ【東京都中野区を例にとる】」という記事を書いた。

昨年度の保育施設利用状況(令和3年4月の保育施設利用状況について)を見ると、中野区内の認可保育所の空きは806名。空きは主に0歳児と3~5歳児クラスである。

3-5歳児クラスは2年前くらいから入りやすくなってきた。

今年度も引き続き、0歳・3-5歳を中心に空きが出ている(2022年6月入園の保育施設等の空き状況・入所の申込み状況)。

待機児童が問題となっていた数年前とは状況が激変している。

中野区のみならず、隣接する新宿区・渋谷区などでも同様の状況だ。

希望する保育所に入りやすくなったのは喜ばしいこと。

 

認可保育所の今後

認可保育所に空きが出始めた今後が恐ろしい。
今度は「認可保育所の廃園」という問題が出てくるからだ。

たとえば、老朽化した建物に入っている認可保育所が廃園候補として浮上するからだ。

令和3年06月08日中野区議会子ども文教委員会(第2回定例会)の会議録には、以下のようなやり取りが残されている。

加藤たくま委員

いきなり来年、そうしたら0歳児で、単純に3で割って41人の保育士がどこかの年齢にずれられるかというと、そんな単純ではないのは分かっていますけど、いずれそういうふうなフェーズに入って、0歳から預けなくても1歳から預けられるよねという安心感が区全体に広まったときに、大分空けないといけない枠のバランスが変わってくる。それで、昨日構造改革実行プログラムの中で、そういったところで空きのところとか考えたときに、状況によっては廃園とか、そういったところまでと言っていたところは、定員のバランスを取るために区立園がそのバランサーにならないといけないのかなとも思うんですけど、そういった考えはあるんですか。

藤嶋子ども教育部保育施設利用調整担当課長

待機児童のところにつきましては、やはり1歳のところで、例えば希望する方皆さん入れるという状況も、今後そういう状況にしていくとなると、やはり保育施設のほうをまだ当面増やさなければいけないという形でなります。一方で、やはり現在でももう空きが出ている。区全体で見ますと空きが出ているというところがございますので、今後やはりそういった保育需要の偏在というところを見極めながら、施設の整備のほうを進めていく必要があると思います。その上で、今後、昨日の報告にもございましたとおり、全体として区内の保育需要というのが減少してきて、空き定員のほうが多く発生するような状況が生じてくれば、そういった区有施設のほうの定員の調整というところも必要になってくるかというふうに考えてございます。

 

区立保育園が定員割れの「バランサー」になる可能性がある、とある。

定員調整のために良質な認可保育所が潰されることだけは止めてほしいものだ。