父の緩和ケアを検討したとき(後編)
今回の記事は父の緩和ケアを検討したとき(前編)からの続き。
佼成病院に引き続いて、私と母は緩和ケア科の面談をしに東京衛生病院に行った。
東京衛生病院の緩和ケア科での面談
東京衛生病院は、JR中央線・東京メトロ丸の内線の荻窪駅北口から徒歩5,6分ほどのところにある。
荻窪駅から東京衛生病院に行くまでは、青梅街道を渡って「教会通り」と呼ばれる通りを歩いていく。教会通りには小さなお店が並んでいて、今はとても有名になった蜂蜜屋さんもその中の一角にある。
東京衛生病院は昔から無痛分娩で有名な病院であり、私たちが東京衛生病院を訪れた日も何人かの妊婦さんが病院に入っていくのを見かけた。
思いがけない言葉
東京衛生病院の緩和ケア科の面談を受けるためには、まず、電話で面談の予約をする。そうすると、面接前に書類(今までの経緯を説明する書面)が郵送されてくる。面談には記載済みの書類を持参しなければならない。
東京衛生病院の緩和ケア科に到着し、面談に呼ばれて診察室に入ると、緩和ケア科の女性医師が開口一番「今までの経緯を書いた書類を拝見いたしました。今まで本当に大変でしたでしょう」とおっしゃった。
そんな優しい言葉をかけられるとは思わなかったので、私たちは本当にびっくりした。
女性医師だけでなく、同席したベテラン看護師までもが「今までの経緯を知っただけでも涙が出そうです」とおっしゃった。
そのとき、私たち家族は父ががんと知ってから、こういった言葉を医療関係者からかけてもらったことがなかったことに気づいた。
緩和ケアに従事して多くの患者に接してきた医師や看護婦が「大変だった」と話すほど、父のように短期間で病状が悪くなって緩和ケアにたどり着く人はそう多くないのだろう。
東京衛生病院も佼成病院と同じく、病状が重い人が優先して入院するから、入院がいつになるかは分からないといわれた。
ただ、佼成病院で面接をした後、東京衛生病院で面接をしたときには父の病状はさらに悪化していたので、父の入院優先度は高いほうだろうと言われた記憶がある。
結果、父が亡くなったその日に、東京衛生病院から入院許可の連絡がきたのだった。
東京衛生病院の緩和ケア科のスタッフの皆様に感謝です
父の緩和ケア科への入院はかなわなかったものの、父の件で慌てふためいていた私たち家族に心のこもった言葉をかけて頂いた東京衛生病院の緩和ケア科の皆様に感謝したい。
病状が重い患者ばかり扱っていると感覚が麻痺してしまい、病状が重い患者なんて見慣れてしまうのだと思うけれど、東京衛生病院の緩和ケア科のスタッフの皆様が私たち家族に寄り添ってくださったことは私たち家族は本当にうれしかったのだ。