介護施設と保育園の類似性

我が家には高齢の母がいる。

母は現在「要支援1」。週2回デイサービスのお世話になっている。

デイサービスに通っていると言っても母はまだまだ元気なので、本格的な介護が必要な段階ではない。

けれども、今後母が年を取っていけば介護施設の力を借りる機会も増えるだろう。

母が将来、介護施設の力を借りることを想定して、介護業界について少しずつ調べてはじめている。

介護業界の現状についてこれから勉強していくつもりだ。

 

介護施設と保育園との類似性

今まで調べてきて、介護施設を取り巻く状況が保育所と似ていることに気づいた。

介護施設・保育所のどちらも厚生労働省が所管の福祉の現場だから似ているのは当たり前かもしれない。

ただ、似ているというよりも「保育業界が介護業界の後を追っている」という感じがする。

介護業界で今起きていることは、ゆくゆくは保育業界でも起きるようになるのだろう。

 

利用者家族からみた介護業界

20年前の状況

我が家は、約20年前に祖母の介護をしていた。

当時は昔ながらの在宅介護である。

1度、祖母の具合が悪くなった時、祖母が病院に入院し、その後、リハビリを兼ねて介護施設のお世話になったことがあっただけで、あとは自宅で家族が介護していた。

20年前は介護制度が導入されてから日が浅く、介護施設自体が多くなかった。

当時は民間の介護施設というのは非常に少なかった。

それに当時は介護施設は医療法人や社会福祉法人によって運営されているところが中心だった。

20年前は老人ホームへの入居待ちの人がたくさんいた。

 

現在の状況

一方、今は民間の介護施設がとても多い

東京都内に限っていえば、施設を選ばなければどこかしらの介護施設に入居できるといってもよい。

介護施設が今どんどん建設されているのは、いわゆる団塊の世代が間もなく75歳を迎え、介護が必要な高齢者が今後激増するのを見越してのことだ。

それにしても、20年前には数が足りない足りないといわれている介護施設が、現在では、施設を選ばなければ、どこかの介護施設に入居できる状況になっているのに驚いた。

 

介護施設が増えた理由

介護施設が増えた理由は言うまでもなく「民間の力を借りたこと」である。

ここ20年間で株式会社が運営する介護施設がたくさん増えたのである。

介護施設といっても、訪問介護から通所施設、いわゆる老人ホームまでいろいろある。

小規模の介護施設がびっくりするほど増えているのだ。

「介護」というと公的な施設という印象がある。

けれども、今は介護施設の多くが民間業者によって運営されていることを忘れてはならない。

民間業者はすべて悪いとは思わない。

事実、母がお世話になっているデイサービスは民間業者で、とても気持ちの良いサービスを提供してくれている。

 

介護施設と保育園の共通点

もうだいぶ前から介護施設についていわれていること

・人手不足

・離職者が多い

・仕事内容に比して給与が少ない

・人手不足を補うため派遣社員に頼っている

・民間の力を借りることで施設数が増えている

がそのまま保育園にも当てはまる。

本来は働く人の給与に回るはず・施設が使えるはずのお金が運営会社・派遣会社に回ってしまい、施設も働く人も楽にならないのが、現在の多くの保育園・介護施設の現状のようだ。

そのしわ寄せは、利用者である高齢者・子どもたちに行く。

介護業界・保育業界ともに、合同就職相談会を開催して人材募集の手助けをする程度のことはどこの自治体もやっている。

けれども、この程度のやり方では効果が薄い。

もう一歩踏み込んだ対応はできないものだろうか。

今も保育園はどんどん増設されている。

ここ数年来話題になっている待機児童もいずれは落ち着くだろう。

そうなったとき、保育所が余り、現在一部の介護施設で起きているのと同じように、経営が厳しくなって倒産したりするのだろうか。

 

介護施設と保育園の違い

介護施設と保育園を比べてみて一番大きな違いは「介護施設は自己負担額が多いが、お金さえ払えば自分が気に入った介護施設に入居できる」ことだろう。

要するに、お金があれば、自己負担金をたくさん払って自分が気に入った介護施設に入居できる点が介護施設と保育所との違いだ。

介護施設は利用料に関してはピンキリだ。

セレブが多く入居する高級老人ホームもあるし、その一方で、生活保護者を多く受け入れる老人ホームもある。

一方、保育園には大別して認可と認可外がある。

けれども、認可保育所の入所審査は自治体が行っていて、保育に欠ける指数が高い子どもから優先して認可保育所に入れる

認可保育所については介護施設と異なり、「お金をたくさん払えば気に入った保育所に入れるわけではない」のが、介護施設と認可保育所の大きな違いだ。

認可保育所は利用者との直接契約ではない点・自治体が入所審査を行う点・保育に欠ける指数が高い子どもから優先して認可保育所に入れる点こそが、保育所の介護施設化に歯止めをかけているかもしれない。