山下達郎の雨のうた
山下達郎(以下敬称略)といえば「雨のうた」が好きだと言う人は多いと思う。そういうコメントをどこかで読んだ記憶がある。
わたしも山下達郎の「雨のうた」が好きだ。
山下達郎の曲には、雨にまつわる名曲がいくつかある。
10代20代の人たちにも初期の山下達郎の楽曲を聴いてもらいたいという思いを込めて、初期の山下達郎の楽曲から「雨のうた」を選んでみた。
雨は手のひらにいっぱい(1975年・シュガー・ベイブのアルバム「SONGS」に収録)
作詞/作曲:山下達郎
ミディアムテンポの曲。
なんといっても、この曲の山下達郎の声が若い!
「若い頃の達郎の声のほうが色気がある」とわたしは勝手に思っている。
コーラス担当の大貫妙子の声が聴ける。
こぬか雨(1975年)
作詞:山下達郎・伊藤銀次
作曲:伊藤銀次
「こぬか雨」は漢字で「小糠雨」と書く。
「こぬか雨」は伊藤銀次のギターのフレーズが印象的な曲である。
「ここにはスコールさえもない」という歌詞からも類推できる通り、「こぬか雨」とは雨滴が霧のように細かい雨のことをいう。
「小糠雨」という日本語の繊細さを感じる表現がわたしは好きだ。
雨の女王(1978年・アルバム「IT’S A POPPIN’ TIME」に収録)(1975年)
作詞/作曲/編曲:山下達郎
出典:ディスコグラフィ|山下達郎 OFFICIAL SITE (tatsuro.co.jp)
「雨の女王」はサックスが印象的のミディアムテンポの曲。
坂本龍一の饒舌なピアノと吉田美奈子の力強いコーラスが聴ける。
2000トンの雨(1978年・アルバム「GO AHEAD!」に収録)
作詞/作曲/編曲:山下達郎
出典:ディスコグラフィ|山下達郎 OFFICIAL SITE (tatsuro.co.jp)
「こぬか雨」とは反対に、「2000トンの雨」は激しい夕立ちを想起させる曲だ。
以前も書いたが、「2000トンの雨」はピアノ(坂本龍一)とボーカルのみのバージョンのほうがわたしは好きだ。
ちなみに、前出の「IT’S A POPPIN’ TIME」と同様、このアルバム「GO AHEAD!」のレコードジャケットがとても魅力的だ。
このレコードジャケットはペーター佐藤氏に頼み込んで3日で描いてもらったもので、日本のメディアからは酷評されたのに、アメリカではどこに行っても絶賛されたというエピソードが興味深い。
RAINY WALK(1979年・アルバム「MOONGLOW」に収録)
作詞:吉田美奈子
作曲:山下達郎
出典:ディスコグラフィ|山下達郎 OFFICIAL SITE (tatsuro.co.jp)
「RAINY WALK」は吉田美奈子作詞&山下達郎作曲のゴールデンコンビによるポップな曲。
個人的には、このゴールデンコンビによる曲のほうがわたしは好き。
「RAINY WALK」はタイトル通り「雨の中をアスファルトを踏み分けて歩く」イメージの曲。
この曲を聴くとなぜか、バブルを迎える前の、日本が上向きの時代を感じる。
今はどうしてこんな日本になってしまったのか。
RAINY DAY(1980年・アルバム「RIDE ON TIME」に収録)
作詞:吉田美奈子
作曲:山下達郎
出典:ディスコグラフィ|山下達郎 OFFICIAL SITE (tatsuro.co.jp)
「RAINY DAY」はスローテンポの美しいバラード。達郎のコーラスが映える。
「RAINY DAY」はピアノのフレーズが印象的。ピアノの音が、跳ね上がる雨音のように聴こえてくる。
「RAINY DAY」は歌詞に出てくる通り「雨上がり」を想起させる曲なのだ。
スプリンクラー(1983年・アルバム「TREASURES」に収録)
作詞/作曲/編曲:山下達郎
出典:ディスコグラフィ|山下達郎 OFFICIAL SITE (tatsuro.co.jp)
この曲「スプリンクラー」を聴くと、なぜか、激しいにわか雨で地下鉄の通風口に水が流れ込むイメージをわたしは連想するのだ。
山下達郎の雨のうた
山下達郎の雨のうたは「都会の雨」を想起させる。
山下達郎の雨のうたを聴くと、アスファルトの上に雨滴が落ちる様子が思い浮かぶのだ。
山下達郎の雨のうたが「都会の雨」を想起させるのは、山下達郎自身が東京・池袋で育ったことが大いに影響しているのだろう。
そういえば池袋という街は、池袋駅から徒歩圏内にごく普通の住宅地が拡がっている。立地の良さと子育てしやすさが魅力で子育て世帯が池袋に増えているという報道を最近テレビで見たのを思い出した。
そんな都会の片隅で育った山下達郎の感性が伝わってくるのが「雨のうた」である。