中高年女性の就業率の増加と産後ケアの必要性

以前と比べると、中野区の産後ケアを利用してデイケアショートステイができる施設が増えたのは良いことだ。

たとえば、産後ケア事業が始まった当初は、ショートステイは助産院でしか使えなかった。

2020年12月現在、東京警察病院・聖母病院・河北病院(各病院で出産した母子に限る)と中野区内の病院や中野区近郊の病院でショートステイできる病院が増えているのは嬉しいことだ。

 

産後の肥立ちと床上げ

そういえば、日本では昔から「産後三週間はゆっくりと過ごす」「産後三週間を過ぎてから徐々に元の生活に戻っていく」のが良いと言われてきた。

産後三週間はゆっくりとした生活をしたほうが「産後の肥立ち」が良いということだ。

産後、元の生活に戻ることを「床上げ」という。

以前は、産後しばらくの間、実家に戻って実母やきょうだい、親戚の女性に子育てを手伝ってもらう人も多かった。

 

働く中高年女性の増加

けれども最近は、産後しばらくの間、孫(赤ちゃん)の世話と産婦の身の回りのお手伝いができるような女性は減っている。

祖母世代である50代60代女性のうち、仕事を持っている人の割合が年々高くなっている=専業主婦の割合が減っているのだ。

労働力調査(基本統計)2019年によると、2019年における55~59歳女性・60~64歳女性の就業率(仕事を持っている人の割合)はそれぞれ73.2%58.6%だ。

10年前の2009年の就業率(60.6%42.9%)と比べると、中高年女性の就業率は60.6%→73.2%42.9%→58.6%と大きく増加している。

 

就業率    55~59歳女性    60~64歳女性    65~69歳女性

2009年           60.6%                     42.9%                    26.3%

2019年           73.2%                    58.6%                     38.6%

 

仕事をしている中高年女性はこの10年で大きく増えたということだ。

65~69歳女性の就業率も26.3%(2009年)→38.6%(2019年)と、今や60代後半の女性の10人に約4人は仕事をしているのだ。

産後しばらくの間つきっきりで母子のお世話ができる祖母(中高年女性)はいまや少数派なのだ。

最近よく話題になる「産後うつ」の問題も、祖母世代が働きに出ていて娘の産後のお世話ができない環境にあることも少なからず影響しているかもしれない。

娘と孫(赤ちゃん)のお手伝いをしたくても、仕事があるからできない人が増えている。

だからこそ、産後ケアが必要なのだろう。