中野区の待機児童数

一区民の目からみると、中野区の前区長(在任期間:2002-2018年)は子育て環境の整備にまるで興味がなかったように思われる。

結果、中野区では前区長時代に保育所の整備が追い付かず、待機児童数がどんどん増えていった。

2018年に中野区長が変わり、以前よりは子育て環境がマシになった、と思う。

 

中野区の2015-2020年の待機児童数

直近6年(2015-2020年)の待機児童数は、2015年172人2016年257人2017年375人2018年171人2019年157人2020年73人である。

2020年の待機児童数が大きく減ったのは言うまでもなく、今年(2020年)4月に認可保育所がたくさん新規開設されたおかげだろう。

上のグラフから、中野区の待機児童数のピークは2017年で、2017年の前後5年間、中野区では認可保育園に入りにくい状態が続いていたことがわかる。

 

待機児童はどこに行った

中野区に限らず、待機児童は主に0-2歳児が中心で、3歳児以上の待機児童は少ないと一般にはいわれている。

3歳児以上の待機児童数が減る理由のひとつは「幼稚園に通う」子どもがいるからだ。

とはいうものの、中野区に100人以上いた待機児童が3歳を過ぎるとなぜゼロになるのだろうか?と前から不思議に思っていた。2017年などは400人近い待機児童がいたのだ。

「待機児童を抱えた家庭は中野区外に転出しているのでは?」と常々思っていた。

そこで、0-3歳児の頃に待機児童が多かった中野区の2014-2019年生まれの子どもの人口推移を調べてみた。

 

中野区の2014-2019年生まれの子どもの人口推移

中野区の住民基本台帳に記載された年齢別人口をもとに、中野区の2014-2019年生まれの子どもの人口推移をグラフに示した。

上のグラフのとおり、中野区の2014-2019年生まれの子どもの数は0-5歳のあいだ、年齢が上がるとともに減りつづけることがわかる。

 

3歳までに300人以上が減少

中野区在住の2014-2018年生まれの子どもの数は0-3歳の間で大きく減っている。

2014年生まれ:0-3歳まで合計304人減少
(0歳→1歳で89人減少、1歳→2歳で105人減少、2歳→3歳で110人減少)

2015年生まれ:0-3歳まで合計336人減少
(0歳→1歳で
138人減少、1歳→2歳で130人減少、2歳→3歳で68人減少)

2016年生まれ:0-3歳まで合計360人減少
0歳→1歳で152人減少、1歳→2歳で130人減少、2歳→3歳で78人減少)

2017年生まれ:0-2歳まで合計185人減少
0歳→1歳で109人減少、1歳→2歳で76人減少)

2018年生まれ:0歳→1歳で90人減少

 

待機児童が転出数に影響か

直近5年間、特に0-3歳児では、中野区外に転出した子どもの数が、中野区内に転入する子どもの数を大きく上回っている。また、上のグラフでもわかるように、4歳・5歳になると子どもの数の減りは少なくなる。

以上のことから、中野区に住む2014-2019年生まれの子どもの数が減ったのは、待機児童を抱えた家庭が中野区外に転出した影響も考えられる

もちろん、中野区外に転出するのは待機児童を抱える家庭だけでない。子どもが認可保育所に通っている家庭が転勤やマイホームの購入などを理由に区外に転居することもよくある話だ。

それに、直近5年間に限らず、それ以前からずっと、中野区では子どもの数は0-5歳の間は年を重ねるごとに減っていく傾向がある。

中野区の住民基本台帳の2011-2014年の年齢別人口をみても、0-5歳の子どもは年を追うごとに数が減っていくのがわかる。

とはいえ、2017年・2018年と中野区内の待機児童数が少なくなるとともに、中野区の2017年生まれ・2018年生まれの子どもの数の減りが少なくなっていることから、直近5年間、待機児童になった子どもを抱える家庭が中野区外に転出したことも考えられる。

ここ5年間で中野区での生活をあきらめて区外に転出した家庭が相当数いたかもしれない。

小さい子どもを持つ家庭に中野区に選ばれないのは残念なことだ。

 

2022年4月22日追記

令和3年4月の中野区の待機児童数は前年(令和2年4月)よりも減って、以下の通りである(出典:令和3年06月08日中野区議会子ども文教委員会(第2回定例会)会議録)。

令和3年4月の待機児童数 25人

上の結果を加えた中野区の待機児童数の推移(2015-2021年)は以下の通りである。

下のグラフによれば、中野区の待機児童数は2017年以降、減少の一途を辿っていることがわかる。

 

中野区の待機児童数の推移(2015-2021年)

 

令和4年4月の待機児童数はおそらく今年中頃には判明するだろう。

ただ、待機児童数のカウントの仕方にはカラクリがある。
たとえば、上述の令和3年4月の待機児童数(25人)というのは、認可保育所の申込数から、新規に認可保育所に入所した児童数を純粋に引いた数ではないのだ。この辺については別途まとめる。