東京都公立小中学校・学校選択制の実施状況【2021年】
「東京都の各自治体で公立小学校・中学校の学校選択制はどの程度普及しているのだろう」
ふと疑問に思ったので調べてみたところ、東京都公立学校の学校選択制の実施状況が、東京都教育委員会のウェブサイトで毎年公表されていることがわかった。
東京都教育委員会のウェブサイトから東京都の区部・市部それぞれの学校選択制の実施状況を抜粋する。
学校選択制:実施形態の分類
ひとえに学校選択制といっても、
(1)自治体内にあるすべての学校を自由に選択できる場合(自由選択制)、
(2)自治体をブロックに分け、ブロック内での学校選択を認める場合(ブロック選択制)、
(3)従来の通学地域は残したままで隣接する区域内の学校を選択できる場合(隣接区域選択制)、
(4)従来の通学区域は残したままで、特定の学校について通学区域に関係なく当該自治体のどこからでも選択を認めるもの(特認校制)、
(5)従来の通学区域を残したままで、特定の地域に居住する者について学校選択を認めるもの(特定地域選択制)、
と学校選択制の実施形態は様々である。
東京都・学校選択制の実施状況:区部(2021年)
小学校・中学校ともに学校選択制を導入している区(12区)
中央区
港区
墨田区
江東区
品川区
目黒区
渋谷区
豊島区
荒川区
板橋区
足立区
江戸川区
小学校は学校選択制なし・中学校は学校選択制を導入している区(6区)
千代田区
新宿区
文京区
台東区
練馬区
目黒区(当面の間)
小学校・中学校ともに学校選択制を導入していない区(5区)
世田谷区
中野区
杉並区
葛飾区
北区
東京都・学校選択制の実施状況:市部(2021年)
小学校・中学校ともに学校選択制を導入している市(10市)
八王子市
立川市
青梅市
調布市
町田市
日野市
国分寺市
清瀬市
武蔵村山市
西東京市
小学校は学校選択制なし・中学校は学校選択制を導入している市(4市)
八王子市
調布市
清瀬市
武蔵村山市
小学校・中学校ともに学校選択制を導入していない市(16市)
武蔵野市
三鷹市
府中市
昭島市
小金井市
小平市
東村山市
国立市
福生市
狛江市
東大和市
東久留米市
多摩市
稲城市
羽村市
あきるの市
中野区の場合
学校選択制を導入していないが、実際は「部分的な学校選択制」
上記の通り中野区では区内公立小学校・中学校ともに学校選択制を導入していない。
中野区では児童・生徒の住所によって就学する学校が定められる「指定校制」を導入している。
ただし、中野区では区立小中学校ともに、条件を満たす場合に限り指定校の変更を認めている。
たとえば、中野区内の小学校では、指定校より距離が近い小学校への指定校変更を認めている。
指定校より距離が近い小学校への指定校変更を認めるということは「学校選択制」のうち「特定地域選択制」に該当し、実質的には中野区は部分的な学校選択制をとっていると解釈することもできる。
中野区が表向き「学校選択制を導入していない」と表記し続ける理由はよく分からない。
小中学校統廃合により、指定校までの距離に偏りがある地域が生じている
国は「一つの中学校区で一つの地域包括ケアシステムを進める」目的を掲げている。
学校選択制のデメリットとして、進学する小中学校が多様化すると、地域としてのまとまりがなくなることが挙げられている。
一方、中野区内では区立小・中学校の統廃合により、通学区域に偏りが生じている箇所も存在する。
通学地域に偏りが生じているケース
たとえば、
・ひとつの小学校から進学する中学校をひとつに集約するよう中学校区を無理に区画した結果、すぐ近くにある区立中学校が指定校ではなくなったケース
・区立中学校を統廃合した結果、指定校の区立中学校が非常に遠くなったケース(区境にある地域など)
が生じている。
中学校では距離を理由とする指定校変更は認められていない
また、中野区では、区立小学校に関しては、指定校より距離が近い小学校への指定校変更を認めているのに対して、区立中学校に関しては、指定校より距離が近い中学校への指定校変更は認められていない。
小中学校統廃合により通学地域が広がり、通学地域に不具合が生じている地域もあるのだから、区立中学校の指定校変更についてはもう少し柔軟に対応してほしいものだ。